2018年8月11日土曜日

イージー・クエスチョン / (SUCH AN) EASY QUESTION


イージー・クエスチョン/(SUCH AN) EASY QUESTION 

ページ最後に<イージー・クエスチョン>に海外ジャケット掲載 

エルヴィス・プレスリー

愛してる、それとも愛してない?
こんな単純な質問なのに
なぜ、返事がもらえないの
僕が欲しい、それとも欲しくない?
こんな簡単な質間なのに
なぜ、返事をしてくれないの

*君ときたらため息ついて
ごまかしたりするばかり
思い切って返事をすることが
恥ずかしいって言うのかい
イエスなの、それともその逆かい?
こんな単純な質問なのになぜ、返事がもらえないの

*くり返し

答えはとっても簡単さ
こんな単純な質間だよ
なぜ.返事をしてくれないの
こんな簡単な質間なのに 

エルヴィス・プレスリーのいかすぜ、この恋

背負いたくないけれど背負っている。逃げたいけれど逃げられない。
人はそれぞれに、そういうこともあったりして、それが世界の頂点のことであれば尚更。
そんなことを微塵も感じさせない若いエルヴィス・プレスリーのポップな、それにしても、その若さに似合わない巧みなパフォーマンスが光ってきらめく傑作をひとつ。


エルヴィスが62年3月18日に録音した<(SUCH AN) EASY QUESTION 
邦題 <こんなにやさし問いなのに>、その後、タイトル変更された<イージー・クエスチョン>

1965年7月7日に全米公開された映画「いかすぜ!この恋(TICKLE ME)」の楽曲として、アルバム「POT LUCK WITH ELVIS」からピックアップされ、シングル・リリースされた。

本国ではB面だった<いかすぜ!この恋>を日本ではA面にしたのは、<いかすぜ!この恋>が映画のタイトルになったこともあってだと思うが、この2曲ともにいい曲で<イージー・クエスチョン>は、<いかすぜ!この恋>のブラッキーなフィーリングにはない楽しさが新撰だ。

この時期のエルヴィスが、とりあげた楽曲は、やがて襲来する英国ロックバンドをしのぐだけの力感を持った楽曲が揃っている。
<サスピション>や70年代にビートルズの<レット・イッツ・ビー>とメロディにして歌った<リトル・シスター>など粒揃い。

<イージー・クエスチョン>もそのひとつ。もともとエルヴィスなじみのライターが一曲ずつ提供した形をとったアルバム「POT LUCK WITH ELVIS」だけに、どれをとってもシングル・カットできる代物ばかり。

♪ need me ♪
♪ tell me ♪
夏の日の昼下がり、浮世を忘れて、自分のスタイルでゆっくり聴くと最高。


それにしても、エルヴィスの楽曲に出てくる女性は、そのほとんどが悪女のようだ。
好きのひとことは励ましに他ならない。
<アイ・ガット・ラッキー>のように、愛とは励ますこと以外の何物でもないが、エルヴィスの楽曲にそれを探すのはなかなか難しい。
それを思うと、<イージー・クエスチョン>のパフォーマンスは楽しい。


世の男にとっては、女性は厄介な生き物。何を考えているのか分らない、その不可解にぴったりなポップで妖し気だ。

女の毒に向かうようなコーラスもおしゃれで、掛け合いもぴったりハマっているのは、エルヴィスの甘い声が妖し気な世界を這うように探検するからか。
「いかすぜ!エルヴィス!」と声が飛んできそうにカッコいい。 



Do you or don't you love me
Such an easy question
Why can't I get an answer
Tell me, will you or won't you need me
Such an easy question
Why can't I get an answer

* All you do is give a sigh
And beat around the bush
Can it be fhat you're fao shy
To give yourself a little old fuzz
Can you or can't you tell me yes
It's such an easy question
Why can't i get an answer

* Repeat

It's such an easy answer
To such an easy question
Why can't I get an answer
To such an easy question 

エルヴィス・プレスリーのいかすぜ、この恋



エルヴィス・プレスリーのいかすぜ、この恋



Tickle Me
[Original recording remastered] [Soundtrack]
[from UK] [Import]

1. I Feel That I ve Known You Forever (March 19, 1962)
2. Slowly But Surely (May 27,1963)
3. Night Rider (October 15, 1961)
4. Put The Blame On Me (March 12, 1961)
5. Dirty, Dirty Feeling (April 3, 1960)
6. It Feels So Right (March 20, 1960)
7. (Such An) Easy Question (March 18, 1962)
8. It s A) Long Lonely Highway (Single Master) (May 27, 1963)
9. I m Yours (Undubbed single master) (June 25, 1961)
10. Something Blue (March 18, 1962)
11. Make Me Know It (March 20, 1960)
12. Just For Old Time Sake (March 18, 1962)
13. Gonna Get Back Home Somehow (March 18, 1962)
14. There s Always Me (March 12, 1961)
15. Allied Artists Radio Trailer (Version 1)
16. Slowly But Surely (Take 1) (May 27,1963)
17. It Feels So Right (Take 2) (March 20, 1960)
18. I m Yours (LP Master) (June 25, 1961)
19. (It s A) Long Lonely Highway (LP Master) (May 27, 1963)
20. I Feel That I ve Known You Forever (Take 3) (March 19, 1962)
21. Night Rider (Take 5) (March 18, 1962)
22. Dirty, Dirty Feeling (Take 1) (April 3, 1960)
23. Put The Blame On Me (Take 1 & 2) (March 12, 1961)
24. (Such An) Easy Question (March 18, 1962)
25. Allied Artists Radio Trailer (Version 2) 

2018年8月7日火曜日

恋のあやつり人形 / Puppet on a String



恋のあやつり人形  / Puppet on a String


エルヴィス・プレスリーは、またたく間に、前人未踏の領域に入り込んでいた。

「ロックンロール」が今後そうなるのか、誰も予測ができなかった。
ハリウッドは、金のなる木をどう扱えばいいのか、困っていた。

最初は「リオ兄弟」と「いうタイトルで製作を開始したが、挿入歌『やさしく愛して(Love Me Tender)』にタイトルに変更して公開した。若い女性が押し寄せて映画は大当たりした。

当時、大人たちから反感を買っていたエルヴィス・プレスリーを素材に作品することで、エルヴィスの歌もそのまま生かせた。

今度は兵役を終えた青年をキャラクターにした、兵役を終えてハワイに帰ってきた果物会社の御曹司という設定で、観光の要素が加わった。

エルヴィスの声も唱法も見事にハワイアンにマッチしてアルバムは大ヒット、ロングセラーを記録する。

エルヴィス映画の最高傑作と言われる「ラスベガス万才」のアン=マーグレットに代わり清楚なシェリー・フェブレーを相手役にフリリダを舞台に歌って踊るエルヴィスを素敵に描いた。

ここではマリリン・モンローのコメディ「お熱いのがお好き」の味わいもある。


エルヴィス フィルムズ・コレクターズ・ボックス Vol.2 (5枚組) [DVD]

パラマウント、大物プロデューサー、ハル・B・ウォリスは長期契約を手に入れたものの、どうしていいのかわからずに、20世紀フォックスに貸し出して様子を見ることにした。
20世紀フォックスはモノクロ・シネマスコープの西部劇を用意した。

これを受けて『ヨーク軍曹』『カサブランカ』『OK牧場の決闘』など名作を放ったハル・B・ウォリスは、等身大のエルヴィスを描いたカラー作品「さまよう青春(Loving You)」を製作する。

ハル・B・ウォリスの方針はエルヴィス・プレスリーをパロディ化することにしたようだ。

20世紀フォックスも、その方針に乗って「監獄ロック」を製作したところで、エルヴィスに召集令状が届く。

入隊前の過熱状態を予測して、急遽、ハル・B・ウォリスは、故ジェームス・ディーン用の用意してあった脚本をエルヴィス用に書き直した「カサブランカ」の監督で撮影を始める。「闇に響く声」だ。

パラマウントは、1作品1アルバムというスタイルをとった。内容は等身大のエルヴィスを描いていた。

2年の兵役を終えた軍隊から帰ってきたエルヴィスを使い、今度は「G.I.ブルース」を製作する。まんま軍隊生活をパロディ化した映画で、エルヴィスのキャラクターも様変わりした。

入隊前の作品はどちらもロックンローラーの役だったが、この作品から兵隊さんに変わった。決定的に変化を見せたのは「ブルー・ハワイ」だ。

ジェームス・ボンドが月に行ってしまったように、限界点に到達すると、パロディになってしまうのは、面白い現象だ。

そういうバカげたものに人々は救われてきた。




エルヴィスのパロディ化はMGMの製作した「フロリダ万才」で頂点に達した気がする。ここではパラマウントが製作した一連のエルヴィス映画をパロディにした感がある。

等身大のエルヴィスをパロディにした一連のエルヴィス映画が、パロディにされてしまったのだ。

エルヴィス祭りの味わいがある。





やがてドキュメンタリー映画『THAT’S THE WAY IT IS(エルヴィス・オン・ステージ)』が公開され大ヒットする。

しかし、「フロリダ万才」も 裏の『『THAT’S THE WAY IT IS(これがエルヴィスに決まってるじゃないか)」といえば叱られるだろうか?

黄色いジャケットで跳ねてるエルヴィスが忘れられない。



Every time you look at me, 
I'll become a puppet on a string. 
You can do most anything with me.
If you really love me. Darling please be kind. 
I offer you the truest love that you will ever find.
Take my hand and please be fair. 
Handle it with loving care .
For I'm just a puppet on a string 
You can do most anything with me.

いつでも君が僕を見つめるたびに、
僕がどれだけ君を好きなのか
証明しなければね。

僕は君のあやつり人形なんだよ
だから君と僕、ふたりは一緒なんだよ
もし君が、僕を本当に愛しているのなら、
ダーリン、優しい気持ちでいておくれ。

僕は君が望む愛を贈るからね
僕の手を取って、愛し合おう。
思いやりの心で君と僕の愛を分かち合おう

もし君が、僕を本当に愛しているのなら、
僕は君が望む愛を贈るからね
僕の手を取って、愛し合おう。



エルヴィス フィルムズ・コレクターズ・ボックス Vol.2 (5枚組) [DVD]


2015年12月27日日曜日

はてなきハイウェイ /(It's a) Long Lonely Highway




はてなきハイウェイ
/(It's a) Long Lonely Highway

長くて孤独な道のりさ
たった一人で旅していると
とっても辛い世の中さ
恋人がいないということは
たくさんの町を通り過ぎていく
名前のないほど小さな町を週ぎていく

*でも、このまま進んで行かなくちゃ
あてもなくあの道を
止まらずに、そのままで
愛する人さえいないけど
道に沿って、ひたすら進むのさ

長くて孤独な道のりさ
あの娘が一緒にいなければ
この道は涙でできた道
今でも流れ続けてる
心がズシリと重いんだ
全く情けない話だよ

*くり返し

枕の代わりには岩を
シダレヤナギの木の下で
寝床は冷たい草の上
飲み水は泥だらけ
だからってオレのこと
死んだほうがマシ、なんて言わないで

長くて孤独な道のりさ
道はどんどん長くなる
あの娘が探しに来なければ
頭がおかしくなりそうだ
もし、俺が新間にのったなら
あの娘のせいだと伝えてくれ

*くり返し

翻訳:川越由佳氏


涙のしずくのように憂いと潤いのある声。
エルヴィス・プレスリーならでは哀愁を帯びた声が、<はてなきハイウェイ>では、平静を保つように、淡々と転がっていく。

声とは対照的に突き抜けた明るさと乾いた空気を感じるパフォーマンスが、他人事のように客観的に見つめているようで印象的。

最初はつまらない曲だなと感じていました。それが聴くほどのスルメのように味が出てくるのが底力なんですかね。

エルヴィスは小細工しない淡々が好きですね。何気ないのが。

人生は予測不可能。山あり谷あり。まっすぐな道なんてない。なにがあるか分からない。
それは時代が変化し続けるものだし、その必然で人間だって変わる。
どう変わるかは人それぞれで、そこに普遍性を見出すことができない。それが悩みの種にもなる。

だから、この世界には2種類の人が出てくる
(可能性に背を向けて)「こんなもんでしょう」で生きていける者と、(可能性に自分を投げ込んで)「可能な限り最高をめざそう」という者と。
比率的には94%と3%かも知れない。残り3%は「こんなもんでしょう」さえ考えない。可能性に背を向ける人の方が利口なのか知れない。彼らにとって可能性に自分を投げ込むのは馬鹿に見えるかも知れない。それは価値観の問題だからそれぞれに任そう。

でも、このまま進んで行かなくちゃ
あてもなくあの道を
止まらずに、そのままで

エルヴィスだって、「こんなもんでしょう」でやっていた時期が長くあった。この曲はそんな時代の産物。周囲をヘトヘトにさせてもやり抜いた「ハウンドドッグ」の情熱から離れて遠く、しかし本能的に「可能な限り最高をめざそう」という魂があったから、つまらない曲だなと感じていても、まるまるそうはならない。エルヴィスの魂ってやつですね。

長くて孤独な道のりさ
たった一人で旅していると
とっても辛い世の中さ

誰だって受け身でいると、つまらない仕事にも手を染めることになる。エルヴィスは長い間、映画の契約に束縛され続け、意欲を失っていた。でも魂が死ななかったから、「はてなきハイウェイ」の先で、1968年に復活した。イースター(復活祭)のキリストにように蘇った。キリストは処刑後三日で復活したけど、エルヴィスは長かった。それでも死ななかった。

長くて孤独な道のりさ
道はどんどん長くなる
あの娘が探しに来なければ
頭がおかしくなりそうだ




このまま「はてなきハイウェイ」の先で夕陽と共に沈んでしまうのかも知れないと思った人は多いだろう。しかしこの曲とパフォーマンスに渡り鳥のように戻ってくる予感を感じた人も多いはずだ。まっすぐな道なんてない。だから重要なのはいつでも準備しておくことだ。朝は涙に落胆していても夕暮れには戦闘態勢に入るかもわからないのだから。だから最高をめざすエネルギーだけは失いたくない。




2014年9月15日月曜日

ガールハッピー(フロリダ万才)/Girl Happy




ガールハッピー(フロリダ万才)/Girl Happy


1965年当時のバンドブームに乗って、劇中でロックバンドになって、温かいフロリダを舞台に繰り広げる青春ミュージカル。

役どころはピッタリはまって違和感はなく、最後まで快調なテンポでお話が進みます。

特にすごいという映画ではありませんが、1ドル360円の時代に、海外旅行は夢。エルヴィスと美女たちと美しい景色に軽快な音楽。それだけで庶民には楽しかった時代があったって素敵ではありませんか。

原題のGirl Happyとは、女の子がいたらハッピーという意味。つまり女好きということですが、この作品ではエルヴィスが女装して笑いを誘います。

どことなくマリリン・モンローとジャック・レモンが共演した名作「お熱いのがお好き」を連想させる内容で、冒頭雪降るシカゴのクラブでの演奏シーンから、フロリダに移動します。




劇場が暗くなり、スクリーンの中央で、首を斜めにしたライオンが吠えます。おなじみのメトロゴールデンマイヤのライオン。「オズの魔法使い」「雨に歌えば」など幾多のミュージカルの傑作を世に贈ったブランドです。

一転して、観客は雪が降り積もった路上に立たされます。
店先の光景から、速やかに店内にカメラは移動します。

そこでは、バンドが弾んだ演奏を展開している。
中央には黄色いジャケットに身を包んだエルヴィス・プレスリーが<ガール・ハッピー>を熱唱しています。

エルヴィス・プレスリー主演映画「フロリダ万才」の
とってもカッコいいオープニング。

主題歌<Girl Happy(フロリダ万才)>はオープニングとエンディングの両方で歌われます。黄色いジャケットで歌っているのがオープニング。

黒いシャツで歌っているのがエンディングです。↓






「フロリダ万才」予告編

相手役には<ジョニーエンジェル>のヒット曲で人気のあった清楚なシェリー・フェブレーが本作で初共演。以後名コンビとして共演を重ねました。エルヴィス映画の最高傑作と「ラスベガス万才」で共演したアン・マーグレットのようなパンチ力はありませんが、可憐さがいい感じでお似合いでした。







映画「フロリダ万才/Girl Happy」のサントラアルバムからは、スイムで行こう/Do The Clamがシングルカットされヒット、レコード会社主導のもと日本ではスイムブームが起りました。


       
         

2010年11月24日水曜日

はてなきハイウェイ /(It's a) Long Lonely Highway



はてなきハイウェイ
/(It's a) Long Lonely Highway



はてなきハイウェイ(はてしなきハイウェイ) は1963年に録音されたが、エルヴィス・プレスリー主演映画のサントラとしてシングルリリースされたのは1965年だ。

最初は、たいしたことのない曲だと思ったものだ。
しかし、そうではない。この歌は聴けば聴くほど深くなっていく。

涙のしずくのように憂いと潤いのある声。
エルヴィス・プレスリーならでは哀愁を帯びた声が、
<はてなきハイウェイ>では、平静を保つように、淡々と転がっていく。

声とは対照的に突き抜けた明るさと乾いた空気を感じるパフォーマンスが、他人事のように客観的に見つめているようで印象的。

どこへ行こうが頭から離れない愛しい人の面影、仕草、言葉。
それらとどれだけ格闘しても、自分をねじ伏せる強い力。
起きて敗北、寝て敗北。枕は岩、口にする水は泥水となって襲いかかる。
深ければ深いほど、一途であればあるほど痛み。ただ敗北感だけが道連れ。

男は死んでしまうのか?
大丈夫、

♪ keep on going ♪ 
    このまま進んで行かなくちゃ ♪

しかし、何のために?

ひとりの女と別れることは、別のひとりの女、もしかしたら、もっといい女に出会う可能性でもある。
物事の選択は、自分の選択でしかない。

♪ Tell her she's the one to blame ♪ あの娘のせいだと伝えてくれ ♪

そうは言っても、あの娘の選択ではない。生きようが死のうが、全部自分で引き受けて生きるだけだ。自分の選択だ。

♪ keep on going ♪ このまま進んで行かなくちゃ ♪

男は自分にムチを入れる。

♪ keep on going ♪ 

<はてなきハイウェイ>は男の詩だ。乾いている。

理屈が通じない女の世界。感情に弾き飛ばされた男は、全く情けない話だと自嘲しながら、キズつくことを選択した。

愛した女を守ってやりたいと思った男は万能の神の力を羨望する。
愛してしまった男の心はお守りの気持ちと同じ。
神の力にかけて、どれほど古びてもご利益がなくなったとは言えない。

失恋ごときで砕けていられない。ロックンロールだ!<はてなきハイウェイ>
踏まれるほどに守り抜きたい心もあった。
男はブルー・スエード・シューズをはいて旅に出た。

男は自分にムチを入れる。

♪ keep on going ♪
      このまま進んで行かなくちゃ ♪

それが何になるのかと聞いてはいけない。

自分の良心にかけて、自分の良心を涙で磨くとき、男は自分になる。
keep on going

自由万歳!C級生活万歳!エルヴィスは最高だ!
<はてなきハイウェイ>男になる旅は終わらない。



長くて孤独な道のりさ
たった一人で旅していると
とっても辛い世の中さ
恋人がいないということは
たくさんの町を通り過ぎていく
名前のないほど小さな町を週ぎていく

*でも、このまま進んで行かなくちゃ
あてもなくあの道を
止まらずに、そのままで
愛する人さえいないけど
道に沿って、ひたすら進むのさ

長くて孤独な道のりさ
あの娘が一緒にいなければ
この道は涙でできた道
今でも流れ続けてる
心がズシリと重いんだ
全く情けない話だよ

*くり返し

枕の代わりには岩を
シダレヤナギの木の下で
寝床は冷たい草の上
飲み水は泥だらけ
だからってオレのこと
死んだほうがマシ、なんて言わないで

長くて孤独な道のりさ
道はどんどん長くなる
あの娘が探しに来なければ
頭がおかしくなりそうだ
もし、俺が新間にのったなら
あの娘のせいだと伝えてくれ

*くり返し

翻訳:川越由佳氏

<はてなきハイウェイ>は、映画「Tickle Me」(邦題「いかすぜ!この恋」)の挿入歌として使用された。合計9曲が歌われた。
<いかずぜ!この恋>と共に4曲が2枚のシングル・リリース。
残りは<がっちり行こうぜ><ナイト・ライダー>などを5曲を収録したEP盤でリリースされた。現在はテイク違いも含めて合計25曲を収録したアルバムも流通している。

1965年のエルヴィス・プレスリー主演映画「Tickle Me」(邦題「いかすぜ!この恋」)は。監督ノーマン・タウログ。共演はジュリー・アダムス。「ダッジ・シティ」などB級映画に出演していたキュートな女優。
時代は現代だが、ウェスタン・スタイルのロデオ男が印象的。恋とゴースト騒動のコメディ。

2010年8月16日月曜日

クライング・イン・ザ・チャペル/ Crying In The Chapel


クライング・イン・ザ・チャペル/ Crying In The Chapel

リバプールサウンドが全盛の1965年。
ビートルズの<涙の乗車券>、ローリング・ストーンズの<サティスファクション>連続ナンバーワンをかっとばしたスプリームス<ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ>そして歴史に残る名作、ボブ・ディランの<ライク・ア・ローリングストーンズ>、等永遠の名曲が登場した年だ。

そんななかを一曲の静かな曲がヒットチャートを駆けのぼった。
サントラ盤を除くと<悲しき悪魔>以来の勢いのあるヒットだ。
<クライング・イン・ザ・チャペル>である。

チャペルで祈る私の姿をあなたは見ましたね
そこで流した私の涙は喜びの涙だったのです
私は満足の意味を知っています
今私は主にあって幸せです

そこは素朴で簡素なチャペルです
謙虚な人々がお祈りにやってきます
私は日々をしっかり生きぬくために
主がもっと私を強めて下さるよう祈ります

私はひたすら探し求めつづけました
けれどもここのほかには心の平和を得られる場所は
世界のどこにもなかったのです

今私はこのチャペルで幸福です
ここでは人々の心は一つです
私たちはこのチャペルに集い
ただ主の誉め歌を歌い主を讃えるのです

あなたはひたすら探し求めつづけるでしょう
けれども、ここのほかには心の平和を得られる場所は
世界のどこにも見つからないはずです

あなたの悩みをチャペルに持っていらっしゃい
そしてひざまづいて祈って下さい
するとあなたの重荷は軽くなり
きっと新しい道が見つかるでしょう

リリースは65年4月だが、レコーディングは60年10月30日、31日にかけて行われた。
61年2月の大ヒット曲<サレンダー>を収録するためのセッションのはずだったが、エルヴィス・プレスリーは<主の御手を我が胸に/HIS HAND IN MINE>など大好きなゴスペルを歌いまくってゴスペル・セッションと化した。

除隊後、新たな局面への不安と野心がみなぎった緊張の再活動へ自分を投げ込んだ様子が伺える。この時のゴスペルは主に『心のふるさと/HIS HAND IN MINE』に収録された。

シングル<クライング・イン・ザ・チャペル>裏面の<天の主を信じて>は入隊前のアルバム『心のふるさと』からのカットだ。両面がゴスペルで整えられた。こちらでもうっとりするほど柔らかなエルヴィスが聴ける。

『心のふるさと』を収録した時代。ロックが市民権を得た時代ではなかった。エルヴィス・プレスリーは白眉のスーパースターであったが、同時に非難の対象でもあった。ロックンロールが一過性のものであるという印象が巷にも業界にもあった。エルヴィスもそれに留まる気持ちはなく、野心的だった。

カンツォーネ<イッツ・ナウ・オア・ネヴァー>での驚くようなパフォーマンスに続いて、<クライング・イン・ザ・チャペル>はエルヴィス・プレスリーがどんなアーティストであるのか、そのロックンローラーとしての激しいパフォーマンスの向こうにある等身大の心情をさらけだしたセッションから生まれた。

エルヴィス得意のイントロなしのスタート、ピアノとコーラスが追いかけるような展開は歌一本、歌だけで音楽の頂点にたったエルヴィスならではの音楽への心意気が伺える。
ひとりの人間の人生の一場面を歌ったものだが、イントロなしのスタートによって、そこに至るまでのドラマが匂いたつ短編小説の香りのするような曲。孤独な青年をそれ以上に孤独な表現者が描いた世界を呼吸とともに聴かせる。

”Get down on your knees and pray”神の前にはちっぽけな存在でしかなく、” l'll grow stronger ”神なしでは強くなれないことを心こめて歌っている。
ナマなエルヴィスが敬虔な気持ちをより一層身を正して立っているので、信仰心のないピエロも思わず教会の窓からのぞき見してしまう。愛ピエロに一歩近付く楽曲だ。

エルヴィスが67年にリリースした<青い涙>の作者グレン・グレンの親アーティ・グレンが1953年に息子のために作った楽曲。

すでに多くのミュージシャンが取り組んでいたので<涙のチャペル>のタイトルで国内でも知られるが、後発ながらエルヴィス盤はその最高峰となった。”You saw me ””Get down "の声が離れない。エルヴィス・バラード数あれど屈指の名作だ。

2010年6月10日木曜日

スイムで行こう/DO THE CLAM


スイムで行こう/DO THE CLAM

ロックンロールから離れて、ポップな映画スターになりきってしまったエルヴィス・プレスリーは愉しいね。

『フロリダ万才』では、エルヴィス自身ばかりか、マリリン・モンロー『お熱いのがお好き』もパロディにしてしまうたくましさ。エルヴィスは、トニー・カーティスのファンだったからね。映画も楽曲も、これぞ永遠のアメリカって色も鮮やかなB級パラダイスのお手本。

でも当時大流行、大ヒットの<スイムで行こう>を、いま聴こうとしたら結構困難。

現在で回っている、どのアルバムにも収録されていない。

当時はこの曲、ヒットチャートを飾っていたのに、現在この映画からは<恋のあやつり人形>の方が主に使用されていて、ゴールデンレコード第四集もそう。




なあ、みんな、集まって        楽しみ~~~、キングのパーティーよ~~!
ボンゴの音を聞いてくれ        いい音、イケてる~~~~!
近くにいる誰かの手をつかんだら    キングの手を握りたいヨ!
みんなでビーチをシェイクしよう    なに!砂浜をふれって!!
(イエー、イエー、イエー)       なんでもええから、叫んどけ。
スイムで行こう            貝をしょうってよ
スイムで行こう            貝をしょうって、どうすんの?
裸足の足を手でつかんだら       幽霊だったらどうすんのヨ
クルリと回ってからかって       足もって回れって、レスリングだよお~~~!
力いっぱい抱き合って         ウ、四の字固め?
腰を落としてスイムで行こう      ウウウ、分からん。とりあえず転がっておこう

心がグルグル回っちゃう        それ、足振り回されてるのよ、ソレって!
体もグルグル回っちゃう        そら、チョ~回るわさ、
月は一晩中出てるわけじゃない     お願い、朝まで、するつもりじゃないわねーーー
その気になって踊ろうせ        どんな気なのよー、貝、貝なのお~~~~?
(イエー、イエー、イエー)       (イエー、イエー、イエー)
スイムで行こう            イケ、イケ、
スイムで行こう            貝より蟹の方が分かりいいかもネッ?
裸足の足を手でつかんだら       摘むなって
クルリと回ってからかって       回すなって、コラッ、回すなって!
力いっぱい抱き合って         苦しい~~~よ~~~
腰を落としてスイムで行こう      貝ごっこパーティ?

みんなビートをつかんだね       コツが分かったかって言ってンのね
(みんなビートをつかんだね)      足、離してよー、
楽しげな足踏みを聞いてごらん     なんで貝が足踏み出来るのよ、
(楽しげな足踏みを聞いてごらん)    スマイル、スマイル、楽しそうにネ
良かったと思わないかい        エーー、ウソー、マジなのオ~~~。
(良かったと思わないかい)       スマイル、スマイル、楽しそうにネ
スイムがなんだかわかってさ      分かってたまるか
(イエー、イエー、イエー)       (イエー、イエー、イエー)
スイムで行こう            イクワサ、イキャーいいんでしょう!
スイムで行こう            貝になって、転がろう
裸足の足を手でつかんだら       貝に足ないのよ~~~
クルリと回ってからかって       アタイもアンタもからかわれてるの~~、コレって
力いっぱい抱き合って         ヨッシャ、考えずに参加、参加、
腰を落としてスイムで行こう      貝でも、金魚でも、タコでもするで
スイムで行こうスイムで行こう     イケ、イケ! コラ、サッサ   
裸足の足を手でつかんだら
クルリと回ってからかって
力いっぱい抱き合って
腰を落としてスイムで行こう
腰を落としてスイムで行こう

それにしても<スイムで行こう>とはよく言ったものだ。
この曲、原題は<DO THE CLAM>、邦題<スイムで行こう>は当時日本の音楽界が仕掛けたニュー・リズム「スイム」キャンペーンにひっかけたのだ。橋幸夫も「スイム」に乗っていた。
スイムの踊り方の解説書も出回っていたと思うが、ニュー・リズムといっても影も形もなく、ナニもない。なにもないところに仕掛けていくところが商売人だね。すごいね。何の断りもなく「貝」というだけで、王者エルヴィスまで巻き込んでしまうんだからね。でもこのキャンペーン、不発に終わったようで。

さあ、シャワーの前に<スイムで行こう>、出てきて、もう一回<スイムで行こう>

暑い夏には、手放せませんゾ。